ジョーの旅行体験記

原付とヒッチハイクで日本一周した後、アジアを中心に16ヶ国を周遊中。

日本に生まれるということ

 

 

 日本はとてもいい国だ。

 

 ありきたりなところでは、治安がいい、公共交通機関にほとんど遅れがない、街が綺麗、モノが溢れているなど…

 

 これは当たり前ではない。

 

 治安が悪くて、金出せと脅される。平気で電車が14時間遅れる。路上のゴミを拾って生活している人がいる。障がいのある人が物乞いをしている。

 

 全て僕がみたり、体験したりしたものだ。

 

 日本に戻ってくると、この平和な国で生活できる自分は幸せものだと気づく。

 

 

 日本人の顔で、日本の国籍を持っているだけで褒められる。

 

 

 日本の企業がこの橋を作ってくれたんだ。(カンボジア

 

 本土に戻らなかった日本兵のおかげでこの国は独立できたんだよ。(インドネシア

 

 日本の政治は好きじゃないけど、日本人は好きだよ。(中国、韓国)

 

 日本人は遅刻しないんだよね、なんてすごいんだ。(イギリス)

 

 ほら、インドの首相と安倍さんが握手してるだろ、日本とインドは仲良いんだぜ。(インド)

 

 

 実際に言われた言葉です。僕は何もしていないのに、名前も知らない日本人のおかげで、僕は高い評価を受けた。

 

 

 日本のパスポートを持っているだけで、世界中のほとんどの国に行ける。そのうちの多くの国ではビザが要らない。

 

 

 ビザなしで入国するためには、国と国とがビザなし協定を結ばなければならない。

 

 

 「日本人なら大丈夫」という認識が世界にはある。

 

 

 バングラデシュの友達から、「インビテーションレターを送ってくれ」と頼まれたことがある。

 

 

 僕は「インビテーションレター」を知らなかった。

 

 貧しい国から外国人が日本に来る場合、収入がしっかりしていないと、ビザが発行されないそうだ。

 

 しかし、その「インビテーションレター」があれば、「友人に会う」という目的がはっきりするため、格段にビザが発行されやすくなるそうだ。

 

 豊かな日本では、必要のないものだ。

 

 

 学生の時、「食べ物を与えたりする支援は意味がない。技術を教えなければ、豊かにならない」と教わった。

 

 確かにそうかもしれない。

 

 でも、その日に食べるモノがなく、働き口もなく、物乞いをするしかない人を見たことあるか。

 

 その日のことしか考えられないほど貧しい人は沢山いる。

 

 その人にとって将来など、知ったこっちゃないのだろう。

 

 

 きっと、ずっと日本にいたら理解できなかった。

 

 

 僕は、この「生まれのよさ」に気づいた時、とても恥ずかしくなった。

 

 生まれのよさだけで豊かな暮らしができる、ヨーロッパの中世貴族のように感じたから。

 

 世界史を学んでいた時、そういう「貴族」というモノが心底嫌いだった。

 

 自分がそれになってしまったような気がした。

 

 

 

 僕はこの「生まれのよさ」の上にあぐらをかきたくはない。

 

 

 自分にできることは何か、その答えはまだ出ていないが、数年後には一つ答えを出そうと思う。

 

 

 とりあえず今は、誰かの考えるきっかけになってくれればいいかな。